素人から始める投資信託の運用ポイント

購入できる投資信託の数は、年度によって3,000本から5,000本もあります。ネットを使えば人気商品や分配金利回りを絞り込むこともできますが、それでも初心者にとっては数が多いはずです。

では、どのようなことに気をつけて投資信託の運用を始めると、素人の方でも失敗せずに済むのでしょうか。素人ならではのポイントを押さえながら、大切な資産を増やしてください。

リスク許容度と目的から投資信託を選ぶ

投資信託の中には、年間利回りが10%を超える商品があります。100万円分、購入すれば、1年間で10万円もの儲けが発生することになります。

しかし、利回りが高いということは発展途上国の株式や商品先物といった、値動きの荒い金融商品を投資対象としているわけです。購入した投資信託の基準価額が暴落してしまえば、分配金から得られる利益とは別に、基準価額からの損失を被ることになります。

老後のために毎月1万円ずつ分配金を受け取りたいという人は、基準価額の変動率が緩やかで分配金重視の投資信託が向いているでしょう。

子供の教育資金を確保するためなら、売却時期が決まっているわけですから、分配金と基準価額の両方から利益の狙える商品を選ぶべきです。

利益優先という場合は、年間利回り10%を超える商品、基準価額の値動きが荒い商品が良いです。

老後資金を確保するために投資信託を購入した人が、利益優先型の商品を運用してしまえば、楽しいはずの老後が一変するでしょう。反対に投資利益を狙っていた人が安定型の商品を購入すれば、あまりの儲けの少なさに後悔してしまうかもしれません。

購入から解約までの期間が短いと、往復手数料と中途解約手数料のダブルコストが生じるため、無駄に資産を減らす恐れがあります。人気商品だからという理由で運用する投資信託を決めないようにしましょう。

リスクを分散させながら投資信託を購入する

投資信託には商品ごとに特徴があります。成長性の見込める国内株式だけを買い付けている投信、国内・国外のエネルギー関連株を買い付けている投信など、投資対象が偏っている商品も少なくないのです。

日経平均株価が年初から年末にかけてひたすら下げ続ければ、国内株式中心の投資信託は連動して基準価額が下がるでしょう。世界同時株安となってもエネルギー問題が再燃すれば、エネルギー関連株は脚光を浴びますので、それを運用する投資信託は利益が増します。

つまり投資対象が特定の金融商品のみとなる投資信託は、マイナスとなる事例が起こると露骨に基準価額や分配金が下がります。1つの商品に資金を注ぎ込み過ぎると、万が一の時に取り返しがつかなくなります。

よって、いくつかの投資信託を同時に運用すると、リスクを分散させられますので、安定性も高まると言えるでしょう。

投資信託の運用方法

投資信託の運用方法には、リスクを抑えたインデックス運用、利益優勢のアクティブ運用があります。定期預金や個人向け国債の金利では物足りない、けれどリスクは取りたくないという人にはインデックス運用が向いています。

反対にリスクは取れるが、投資経験が浅い又は市況を確認しているだけの時間がないという人は、アクティブ運用を検討してみてください。目的に応じて、投資信託の運用を始めてみましょう。

リスクを抑えた運用方法

安全性を求めているのであれば、インデックスファンドをメインに買い付けていきます。インデックスファンドとは、特定の指数を目標に運用されている投資信託のことです。

日経225連動型という名称の商品なら日経平均株価、TOPIX連動型ならTOPIX、米国株式ならS&P500指数が目標基準となります。日経225連動型の投資信託を購入した場合、日経平均株価が上がれば、おおよそ同じ程度に基準価額も上昇します。

確実に連動するというわけではありませんが、何を基準にしているのかが分かりますので、安心して中長期で保有できます。また運用会社が利益を優先していないため、関連市況が大幅に悪化しない限り、分配金が急に0円になるという心配もありません。

さらにリスクを抑えたい時は、複合型の投資信託を選びましょう。複合型投資信託は、投資対象が株式や債券、REIT、商品先物と多岐に渡るため、値動きが緩やかという特徴があります。

株式市場が大幅下落を繰り返しても、債券やREITから運用益をカバーできますので、基準価額が急落するリスクを軽減できます。もちろん基準価額からの差益には期待できなくなりますが、安定した分配金を確保できます。

利益を狙った運用方法

指数以上の成果を狙っていくのが、アクティブファンドです。ファンドマネージャーが国内小型株や新興国株式、新興国債券、コモディティといった、値動きの荒い金融商品を買い付けて運用しています。

運用成績が良ければ、そのぶん基準価額は指数以上に値上がりしますし、分配金の還元率も高まります。アクティブファンドの中には、年間利回りが20%を超える商品もあるため、かなりの利益を手にすることができます。

ただし、指数以下の運用成績しか出せずに償還日を迎える商品も多いです。成績次第では、分配金が0円になってしまいます。

利益を狙う場合でも、アクティブファンドの購入は投資資金の半分ほどに抑えるべきです。残りの資金でインデックスファンドを購入すると、分散投資にもなりリスクが軽減されます。

投資信託運用益が非課税になる制度もある

投資信託の運用益には税金がかかります。株式投資信託なら20%の申告分離課税、公社債投資信託なら20%の源泉分離課税が課税されます。

しかし、その税金がかからない、つまり非課税になるNISAという制度もあります。

普通に税金を払う場合は、売却益だけでなく、受け取った分配金にも税金が課せられますので、非課税になるNISAの制度を存分に活用してください。

NISA(少額投資非課税制度)とは

一時期ニュースでも話題となった、NISAのことです。平成26年1月1日から始まった制度のことで、毎年120万円を上限とする、新規買い付けにかかる売却益や分配金が非課税となります。当初の非課税枠は100万円でしたが、2016年から120万円に増額されました。

対象となる金融商品は株式や投資信託で、期間は最大5年間、投資総額は600万円まで非課税の対象となります。2016年にNISA口座を開設して取引をスタートさせたなら、2020年までは税金がかからないという制度です。

期間を過ぎてしまった時は、翌年の枠を使って新規で枠を引き継がせることも可能です。都合によりNISA口座から、特定口座や一般口座へ移すこともできます。

NISAは短期売買を繰り返す投資家にとっては、非課税枠の120万円をすぐに使い切ってしまうというデメリットを抱えています。ところが投資信託は、長期での運用がメインとなる金融商品です。

5年というサイクルはまさに好都合と言えるでしょう。NISA口座は20歳以上の人なら、銀行や証券会社で開設できます。ただし非課税対象となる投資信託は株式型です。公社債型を検討している人は間違えないようにしてください。

NISAのデメリットは損益通算と3年間の繰り越し控除ができないこと

売買タイミングの誤りや市場動向により、損失が出たとします。もしも保有投資信託が株式型の商品であれば、国内株や外国株、ETFとの損益を通算できます。

損益通算とは、たとえば投資信託では100万円のプラス、株式投資では150万円のマイナスが出たなら、あわせるとマイナス50万円となり、マイナスなので実質非課税ということになります。

これが損益通算ですが、NISAではこれができません。

そして損益通算をしても、まだ損失額の方が多ければ3年間の繰り越し控除を受けられます。

例えば2015年中に取引で100万円の損失、2016年に50万円の利益を得たとします。繰り越し申告を行っていない場合、2016年度の利益に対しては当然ながら税金がかかります。

ただし2015年の取引結果を受けて繰り越しの申告をしていれば、2016年は50万円の利益を出していたにもかかわらず、2015年の損失額である100万円を超えていないので、税金が課せられません。(※繰り越しの手続きは確定申告の時に行います。3年間は控除が有効となるため、損をした翌年に取引を行わなくても、きちんと申告をしておきましょう。)

しかもこのケースの場合、2015年の損失分を2016年では使いきれていませんので、2017年についても50万円までの利益になら繰り越し控除が適用されます。

これが3年間の繰越控除ですが、NISAはこれもできません。

なので、非課税だからといってメリットばかりではないのです。損失が出たときは普通の口座よりもデメリットが大きいと考えてください。